島崎藤村  千曲川旅情のうた [詩]

島崎藤村


「落梅集」より


  
  千曲川旅情のうた


昨日またかくてありけり

今日もまたかくてありなむ
            
この命なにを齷齪

明日のみを思ひわづらふ

          
いくたびか栄枯の夢の
 
消え残る谷に下りて
 
河波のいざよふ見れば
 
砂まじり水巻き帰る

     
嗚呼古城なにをか語り
 
岸の波なにをか答ふ

過し世を静かに思へ

百年もきのふのごとし

 
千曲川柳霞みて
 
春浅く水流れたり
 
たゞひとり岩をめぐりて
        
この岸に愁を繋ぐ


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

平家物語石川啄木 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。